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派遣先都合の契約解除には雇用安定の義務がある

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2026/9/21公開

派遣で働いていると、契約の途中で「今月で契約終了」と言われることがあります。いわゆる派遣切りです。派遣先の都合で契約を切るときには、派遣先の側に果たすべき義務があります。労働者派遣法29条の2を確認します。

契約が切られたとき、多くの人はまず派遣元(登録している派遣会社)から連絡を受けます。そこで語られるのは派遣元の側の事情や、次の仕事があるかどうかが中心になりがちです。契約を切った側である派遣先に義務があることまでは、話してもらえないことがあります。条文を知っていれば、派遣元への聞き方も変わってきます。

派遣先の都合なら、雇用安定の義務が発生する

条文はこうなっています。

労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たつては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならない。

主語は「労働者派遣の役務の提供を受ける者」、つまり派遣先です。「その者の都合による」契約解除という条件が付いています。業績が悪くなった、組織を変えた、人を減らしたなど、派遣先側の事情で契約を切る場合にこの条文が働きます。

義務は2つ、条文に名前が挙がっている

条文が名指ししている措置を、順に見ていきます。

1つ目は「新たな就業の機会の確保」です。契約を切った派遣先が、その派遣労働者の次の仕事を見つける手助けをする義務にあたります。自社の別部署への受け入れや、派遣元と協力しての次の就業先探しがこれに含まれます。

2つ目は「休業手当等の支払に要する費用の負担」です。契約が急に切られると、派遣元(実際に雇用している会社)は次の仕事が決まるまで派遣労働者を休ませることがあります。そのとき派遣元が払う休業手当のぶんを、契約を切った派遣先が持つ仕組みです。休業手当そのものの決まり方は休業手当とは|平均賃金の60%以上にまとめています。派遣元と派遣先のあいだで費用の負担割合を取り決めていない場合でも、この条文がある以上、派遣先には負担する義務そのものは残ります。派遣元から「休業手当は出せない」と言われた場合、この条文を踏まえて派遣元・派遣先の双方に確認する余地があります。

「その他の必要な措置」という受け皿もある

条文の末尾には「その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置」という言葉があります。挙げられた2つの措置だけでなく、雇用の安定という目的に合う対応であれば、この受け皿に入り得ます。契約解除のときに派遣先から何の説明も無い場合は、この条文をもとに派遣元を通じて聞いてみる余地があります。

「都合」の中身は条文に書かれていない

注意しておきたいのは、29条の2が「その者の都合」とだけ書いていて、具体的にどんな理由が当てはまるかまでは条文に列挙されていないことです。業績悪化・組織変更・人員削減のような分かりやすい例だけではありません。派遣先の担当者が変わった、業務内容の見直しがあったなど、派遣労働者本人には落ち度が無い理由の多くがここに含まれます。逆に、派遣労働者自身の重大な問題行動が原因である場合は、性質が異なる話になります。自分の契約解除がどちらの性質に近いかを、まず整理しておくことが最初の一歩になります。

解除の効力は、さかのぼらない

もう1つ、隣の29条に押さえておきたい規定があります。

労働者派遣契約の解除は、将来に向かつてのみその効力を生ずる。

契約の解除は「将来に向かって」だけ効力を持ちます。つまり、解除より前にすでに働いた分については、解除がさかのぼって無かったことにはなりません。すでに働いた分の扱いを、契約解除を理由にあとからひっくり返されることはない、という意味になります。

誰の義務かを取り違えない

この条文の義務者は派遣先であって、派遣元ではありません。派遣労働者を雇っているのは派遣元ですが、契約解除の原因を作ったのが派遣先の都合であれば、そのあとの対応の義務は派遣先の側にかかります。契約が切られたときに「派遣元に言われた説明」だけで終わらせないでください。切った側である派遣先にどんな義務があるかを知っておくと、交渉や確認の材料になります。

確かめ方

  • 契約解除が派遣先の都合によるものかどうかを確認する
  • 派遣先から新たな就業機会の確保について何か提示されたか確認する
  • 休業が発生する場合、休業手当の費用負担がどう扱われるか派遣元に確認する
  • 説明が不十分なら、労働者派遣法29条の2を根拠に派遣元・派遣先双方に確認する
  • 対応に納得できない場合は、都道府県労働局の需給調整事業室などの窓口に相談する
  • 契約解除の理由を、書面やメールなど記録に残る形で確認しておく

契約解除そのものを止める権利は条文に書かれていませんが、その後の対応には会社側の義務があります。「契約が切れたら終わり」ではなく、そこから先の義務を知っているかどうかで、次の一歩の踏み出し方が変わります。

3年という期間の区切りで契約が終わる場合は、また別の条文(雇用安定措置)が働きます。期間満了と、期間途中の派遣先都合の解除は原因が違うので、自分がどちらに当てはまる状況かをまず切り分けてください。派遣の3年ルールに、期間満了側の扱いをまとめています。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
2
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1(法令 1)
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